GXBlog編集部のフクノブです。毎月新しいNewsをお届けする【GXニュースレター】。2025年2月号です。
オーダーアイテムの受注窓口を行っている現場から、オーダースーツ市場の最新状況をお伝えしていきます。
目次
【2025年2月の状況】
オーダー受注状況
2月は地域によって豪雪が重なり大変な状況になるほどの寒さもありながら、月末は春の暖かさを感じる事も出来、近年の異常気象一端の様に思えます。
オーダー受注数に関しましては、1月の好調の反動か、昨年に大きく届かない状況でございました。
春夏生地バンチも順次デリバリーされまして、受注するオーダーも春素材が中心となってきました。
早々に重めのウエイトのリネンが目立っており、近年の人気ぶりが垣間見れます。今年はGW頃には猛暑になるとの暑さが早くやってくるとの予報も聞こえております。
2月という閑散期からか、仕込み時期ということで、有り難いことに新規のお問い合わせを多く頂きました。これから独立してオーダー店を開業されたというフレッシュな方、それとは反対に、今まで職人さんで縫製してたが高齢で廃業されてしまい工場縫製に切り替えたいというベテランテーラー様も目立ちました。
アイリッシュリネンのオーダーが好調
暑い時期には重宝するリネンスーツは定番的に人気がございますが今年は出だしが早くご注文が入っております。ウエイトがあるリネンは春からも着用可能です。昨今の猛暑の影響もあるかと思いますが、リネン素材の人気が高まっている様です。着用してると段々と柔らかくなりアジが出てきて愛着を感じる、通気性も良く快適といった風に人気があるのも頷けますね。
生地屋さん情報ですが、世界的にリネンが取り合いになっている様です。水害でリネンがとれず価格が上がり始めてるという情報です。
2026SSには価格が上がる様ですので、今シーズンの内に生地を仕入れておくのも良いかもしれません。
オーダーシャツサービス3月より価格改定
約3年ぶりの価格改定となりますが、2/28受注分より改定となります。
基本工賃のみの改定となり、割増オプションの変更はございません。
最低賃金の上昇、資材の値上げが続き製造コストが大幅に上昇により、今後の事業継続を見据えるにあたり改定を余儀なくされる状況となりました。品質の維持と安定供給を図るための措置として、誠に恐縮ではございますが、ご理解賜りますようお願い申し上げます
【お客様展示会の様子】

弊社のお客様には、オーダースーツ店様以外にもアパレルブランド様もいらっしゃいます。今回は弊社のオーダースーツサービスをご利用頂き既製品展開をされているブランド様の展示会に訪問させて頂きました。素材や縫製に大変こだわりをお持ちのブランド様で、TexTechの縫製品質を認めて頂き生産させて頂いております。
オリジナルパターン投入という選択肢もございましたが、諸々の諸費用や条件等を鑑み、工場パターンをオリジナルパターンに近づける内容でオーダーを頂いております。
TexTechには、いくつかパターンがございますが、お客様の理想を伺い、一番近いパターンを使用させて頂きながら、こだわりの部分を加味してカタチにさせて頂いております。

スーツとは別にネクタイオーダーも活用頂いており、スーツ地を使用したネクタイを作らせて頂きました。市販ではスーツ地でのネクタイは少ないですし、小ロットでの生産も中々難しいので、他のお客様からもオーダーネクタイサービスは好評頂いております。
また、水牛ボタンにオリジナルの刻印をいれさせて頂き別注ボタンも作らせて頂く等、幅広く弊社サービスをご利用頂いております。
【TexTech(旧ジェンツ)工場見学会】

コロナ以前ぶりですので、3~4年ぶりに工場見学会を開催させて頂きました。じっくり見て頂きたい為、参加者様5~6名での開催となりますため、普段ご要望頂いてるお客様を優先的にご案内させて頂いております。
2~3時間をかけて、生地の入口から裁断、縫製工程、仕上げプレスと、一通りをご説明させて頂きました。

初めて工場を見る方もおられ皆様熱心に見学されておりました。
見学後の質疑応答でも色々なご意見とご質問も頂き、工場としても普段は弊社との接点しかないため、直接お客様の声を聞ける貴重な時間となりましたし、反面お客様にとっても工場の人間と接点をもてる機会となりました事、福島という地で、どの様にスーツが出来上がってくるのかをご自身の目で確認できるというのは今後の取り組みにも良い影響が出るのではないかと思います。
今後も定期的的に行いたいと思いますので、ご希望ございましたらお知らせ頂きます様お願い致します。
【ピックアップブログ】
TexTech(旧ジェンツ)オーダースーツ工場で既製品受注本格スタート!(小ロット・高品質)~国内有名ブランド生産も手掛ける安心感~
TexTechでの既製品生産が本格的にスタートしておりますので紹介させて頂いております。
【あたらしい近代服飾史の教科書】

衣服標本家の長谷川彰良さんの書籍「あたらしい近代服飾史の教科書 衣服の標本で見る、着るものの歴史と文化」を1月に発売されました。
長谷川さんは世界にひとりとされる衣服標本家といわれ、古い西洋の衣服を分解して標本にし、さらに、その型紙を設計し、試着サンプルを制作することで、当時の着心地を現代に伝える試みも行っています。また定期的に、衣服を半分に分解した衣服標本を展示する【半分解展】に開催されています。
フランス革命から第二次世界大戦頃までの衣服を個人で収集されており、その探究心と行動力には感嘆させられます。
私達スーツ業界にとっても最も重要な、スーツのルーツをを辿れる一冊となり、深い理解と新たな視点を提供してくれます。
B5版、448ページオールカラーでずっしり重い、貴重な一冊です。




M字型に切られたノッチ、初めて知りました。この時代のメンズファッションの装飾美から造化美に移り変わり、過剰に進んだディテールの様です。
裏地はシルク素材を使用しており、造形美を演出する為、裏地に中に綿をいれて、無数のステッチで形作っています。この時代での最新テクノロジーであったミシンを使用し、200本ものステッチが入っています。

あのベートーヴェンの肖像もMノッチを着ています。



こちらのフロックコートは1867年に三重県のテーラーで仕立てられたものの様です。写真から見ても、とても端正で丁寧に仕立てられた事が伝わってきており、その美しさに目を見張ります。
この書籍の数ある世界中から集めた希少な衣服の中でも、個人的には一際輝いて見えるものでした。
メンズ同様レディースの衣服も掲載されており、当時の技術や型紙等、時代背景からくるデザイン等も、私達の業界にとってはとても有益で大切な情報を知ることが出来るおすすめの一冊です!
以上如何でしたでしょうか。
商品・サービスの詳細はお気軽にお問い合わせください。
メンズスーツやレディーススーツ、ドレスシャツ、ジャージースーツ、コートなどの縫製サービスについてのお問い合わせは株式会社ヤマモト縫製部まで、BtoB向けオーダーブランド【GX】展開中です。

縫製部の福田です。
銀座のテーラーにて職人見習いを経てヤマモトに。