スーツのオーダーシートってどう書くの?~オーダーシート記入方法シリーズ~ジェンツ編その2

毎度!GXblog編集部の山佑です。

 

前回に引き続き「その2」を投稿していきたいと思います。書き進めるうちに文字数が多くなって、その3へと続くかもしれませんが笑

それでは、ジャケット編どうぞ~。

 

ジャケット編

 

前回の「その1」で掲載しましたオーダーシートのジャケット部分を切り出し、拡大したものがこちらです。

 

こちらがジャケットの記入欄になります。こちらを、

上記のように①~④の4ブロックに分けて、ご説明していきたいと思います。

 

①_スタイル・仕様(ジャケット)

①に関しましては、オーダーシートをご覧いただくとお分かりになりますように、”型”の項目以外は全て選択式になっております。

“型”につきましては、S(シングル)、W(ダブル)を選択後、ボタンの数をご記入ください。(例: S 3釦 1掛はシングル3釦の中1ツ掛け)

・ベント:

(   c)の欄は、ベントの深さをご指定いただけますので、ご指定される場合は指定寸法をご記入ください。

・衿:

(   c巾)の欄は、ノッチドラペルは6.0cm~12.0cmまで、ピークドラペルは7.0cm~11.5cmまでをお選びいただけます。なお、記載がない場合は、指定いただいたパターン通りの衿巾となります。*こちらについては後述します。
また、ショールカラーに関しましては、この衿欄を横棒1本引いていただき、備考欄(④)に「ショールカラー」とご記載ください。*ショールカラーにつきましては、衿のパターンが一つのため衿巾の指定はできません。

・胸P(ポケット):

舟型カーブとバルカの違いでございますが、両方とも袖に向かってのカーブの角度は一緒ですが、バルカのほうが、袖に向かって胸ポケットの箱の巾(高さ)が広くなっております。

・腰P(ポケット):

()内は、チェンジポケットの場合や、切Pでのスラント(傾斜)をつける場合などにこちらにご記載ください。*傾斜量につきましては、”スラント”で1.5+1.5の3.0cm、”スラント 強”で2.5+2.5の5.0cmの差寸2種類よりお選びいただけます。ご記載がないと”水平”となります。

・裏:

こちらは裏側の形状になり、上段の背抜き、総裏はその名の通りでございますが、”半裏”と”単衣(「ひとえ」と読みます)”につきましては下記の画像をご参照いただければと思います。

それぞれ、赤く斜線を引いております部分が裏地が付く箇所となっており、”単衣”は一般的に”大見返し”と言われている仕様で、前身~袖ぐりまで共生地を使用しております。ですので、”単衣”に関しましては要尺注意(通常要尺+30cm)が必要です。
また、下段の”AK1800 (    )”は、GXの基本仕様の一つである、キュプラ100%のツイル無地裏地「AK1800」の色番号を記載する箇所です。全40色よりお選びいただけます。隣の”持込”は裏地の持込をされる時に、こちらを選択ください。

・ステッチ:

ステッチの有無と種類(ミシンかAMF)、下段は入れる場所と”巾(  c)”、こちらは通常はピック(端)ステッチとなりますが、少しカジュアル感を出すために(0.7 c)などの端からの「巾」をご記入いただけます。

・袖釦:

数量と付け方をお選びください。*稀に、袖釦5個や6個や、中ボタン(前ボタン)の1個付、等の場合は、こちらの項目を横線で消してもらい、備考欄にてご記載ください。ご記載内容にて進行させていただきます。

・袖裏:

通常”AK7500-502″(キュプラ100%のベージュストライプ柄)が通常付きますが、”共”すなわち胴裏と共地も選択可能です。

・フロントカット:

7・8・9のフロントカットの丸みの形状、7が小丸~9が大丸までお選びいただけます。

・店マーク:

お客様のブランド(ショップ)の織ネームを付ける、付けないの選択欄となります。付ける場所は、下前内ポケット下に付きます。*付けられる場合は、オーダーシート、もしくは生地に付けて、弊社までお送りください。

・ペンネーム:

こちらはよく「これってなんですか?」とご質問いただくのですが、これは所謂「書きネーム」のことです。テーラー様がご自身でお客様名やお日にちなどをサインペンなどで書かれる、タグになります。

・生地シール:

カノニコやドーメルなどの生地の織ネームです。こちらは上前内ポケット下に付きます。

・品質表示:

「上前内P向こう布に挟み込み」にてお付け致します。

 

②_寸法(ジャケット)

こちらの箇所では、使用パターンと指示寸法をご記入いただきます。指示寸法につきましては、必ずご記入いただく寸法(こちらが無いと縫製に進行できない)と、採寸される方が目安としてご使用いただく寸法(こちらは記入がなくても問題なし)がございまして、オーダーシートの太枠で囲まれた箇所が、必須項目(着丈、肩幅、袖丈、半胴)です。
寸法を決める基本的な流れとしましては、お仕立ていただく方のヌード寸法から、ゲージ服を着ていただいてからの出し詰め、またはお気に入りのスーツの寸法からなど、サイズを算出する方法は様々だとは思いますが、どの方法からでも「どのようなスーツに仕上げたいか」、「どのようなサイズ感にしたいか」と言った過程を経てサイズを決めていくと思います。そこで決まったサイズ(着丈は〇cm、半胴〇cmなど)から、どのGXサイズパターンがその方に合っているか、サイズパターン選定をしていきます。この過程は、当然ジャケットだけに限らず、スラックスもベスト(ウエストコート)も同じです。

・パターン:

“GX-    “とGX(モデル)の後に使用するサイズパターンをご記入いただきます。
サイズパターンはアルファベットと数字で構成されており、まずはアルファベットの部分は、バストとウエストの差寸(Drop)から成る体型でして、GXには差寸が20cmあるJ体から、Y体(差寸16cm)、A体(差寸12cm)、AB体(差寸8cm)、BE体(差寸4cm)、O体(差寸0cm)と全部で6体型ございまして、この中から体型がより近いものをお選びいただき、その後数字の部分に号数(GXには0号~15号ございます)をお選びいただきます。

上記サイズ表はJ体のサイズスペックとなっており、これがあと5体型ございますので、全96サイズから選択可能ということです。これだけ幅広いサイズ展開ですので、大多数の方のサイズをカバーしているのではないでしょうか。
(バスト(胸囲)、ウエスト(胴囲)、ヒップ(尻囲)の3元寸法はヌード寸法、そこから左の項目(着丈~衿幅)が上がり寸法となります。またずっと上の方で「後述します」とある、衿幅はこちらのことになります。)

そして、サイズパターン選定のポイントがございまして、それは「なるべくサイズ変更が少ないものを選定する」です。理由としましては、パターン、シルエットを崩さないためでもありますし、寸法補正には限界値がございますので、それを超えない(超えれない)ためでもございます。*寸法補正の限界値は、基本”ヨコ”の動きに対してで、タテの動きには規定はございません。
寸法補正限界値: 肩幅 ±2.0cm、打合 ±1.5cm、ウエスト脇巾 ±2.0cm、尻廻り ±1.0cm (ですので、半胴で±3.5cmの変更が可能です)
こちらをご理解いただき、若干数字的(理数系)要素が加わりますが、サイズパターンの選定を行っていただければと存じます。

また、寸法記入につきまして、1点注意点がございまして、ジェンツの半胴はハナからの寸法でして、上がり寸(ジャケットのボタンを掛けて、脇から脇を測る)とは違うので、注意が必要です。*打ち合い分1.5cmを上がり寸法に足した寸法です。

 

まとめ

やはりと言いますか(笑)、今回もジャケット編の半分でなかなかの文字数になってしまいましたので、③の体型補正からにつきましては、次回の「その3」にてお伝えさせていただければと存じます。
また、今回はジャケットの寸法記入部分があり、オーダーする上で非常に大切なところではございますので、参考にしていただければ幸いです。では、また次回の投稿をお楽しみに!!

その他、メンズスーツやレディーススーツ、ドレスシャツ、ジャージースーツ、コートなどの縫製サービスについてのお問い合わせは株式会社ヤマモト縫製部まで、お気軽にお問い合わせください。

 

 

 

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