GXBlog編集部のフクノブです。毎月新しいNewsをお届けする【GXニュースレター】。2023年12月号です。
オーダーアイテムの受注窓口を行っている現場から、オーダースーツ市場の最新状況をお伝えしていきます。
2023年も最後のニュースレターになりました。今年も終わりに近づきました。値上げの波や戦争、そして猛暑など、様々な出来事があった1年でした。大谷選手の活躍やジャニーズの動向も印象的でしたね。年末の追い込みで、未完了のタスクを一つでも片付け、新たな年に向けて準備を整えたいところです。
目次
【2023年11月のオーダー状況】
オーダー受注状況
例年繁忙期の11月ですが、ご注文が伸びない苦しい月となりました。気温の高さが長引いた為、物価高の為等、要因が色々あるかと思います。結果としては、昨年対比100%に届かないといった状況でした。
季節柄、コートのお問い合わせも少しずつ増えてはきましたが、暑かった時期が長かった分、1テンポ、2テンポ程、普段より遅れている感覚です。
先日、生地屋さんから伺いましたが、全顧客様に聞いてみると1割程しか良くなってるとの返答がない様です。9割のテーラー様が苦戦してるという現実です。
特にコートに関しては気温の高さが顕著に現れ、コート生地が全く売れてないと言ってました。
世間の消費動向は、モノからコトに移行してるいるのも大きな要因ではないでしょうか。
観光地はオーバーツーリズムが起きており、キャンプの流行、フェス等のイベントも混雑しているニュースが目立ちます。ある意味豊かな日本では洋服は行き渡っている現実があり、消費マインドは「体験」に向かっているんですね。
私達の扱うスーツは既にもっているということと、数年前からのトレンドがゆとりあるシルエットに変化してきた為、既製品に流れてる消費者の方も多いのではないでしょうか。
ライフスタイルも多様化した昨今、オーダースーツ業界もどんどん多様化し、今までのオーダーサービスの枠を飛び出す様なサービスを展開する必要がある感じるこの頃です。
アクセサリーオーダーの好調
ネクタイオーダーは年間を通しコンスタントにオーダー頂いております。カジュアル化が進んでる現代でもオーダーを頂けてるのは、通常シルクのネクタイ素材ではなく、ジャケット共生地や、裏地でのご注文に対応させて頂いてるからではないでしょうか。
下記画像の様に、ラメ素材など、特殊素材でも対応致しております。素材によってはお断りする場合もございますが、出来るだけお受けする様努めております。
限られたテーラー様ではありますが、オーダーサスペンダーも好調です。
時代は、1タック・2タック入りで股上も深くなってきているトレンドの昨今、パンツのシルエットがよりキレイに見えるサスペンダーは、理に適ったお客様もご満足いただけるアイテムかと思います。
1本よりオーダー頂けますので、スーツやジャケットの生地とお揃いで仕立てれます。
生地要尺も横地で宜しければ20cm(縦地の場合は100c程度)で作れますので、コスト的にも抑えれる為、ついで販売にも最適ですね。
出来上がり画像、スーツ地の共地で作成しております。シャツ地や裏地でも可能ですので、オールシーズン活用出来るサービスとなりますので是非ご検討ください。
参考記事:サスペンダーOEM 世界で1本完全オリジナルなサスペンダー。
モーニングコートオーダー
アフターコロナで式典も復活し、モーニングのお問い合わせが少しずつ増えております。とても繊細に作られており、綺麗な仕上がりです。サイズ展開も豊富ですので大きな体型のお客様にも対応できます。
モーニングコートのパターンオーダー自体、今では少なくなっており、希少なサービスといえます。
ご入用のお客様がいらっしゃいましたら是非ご活用頂きたいと思います。
また、お急ぎで必要な際にも対応出来る様、チェルッティ生地で作成した既製品販売のご用意もございます。
S・M・L展開ではございますがご承知置き頂ければと思います。
販売ページ:https://www.apparelx.jp/item.php?itemid=1077643
【ジェンツのチェック体制】
弊社がメインで縫製加工依頼をしているジェンツですが、チェック体制がここ最近すごいんです。
主にオーダーシートのチェックと、持ち込む生地・裏地・ボタンに対して、ここまで見るのかと、驚く事がございます。
それは素晴らしい事だと思いますが、毎日やりとりが増えて増えてという実態もございます。
ネーム刺繍の一例
・ichiro.Fukuda←「i」は小文字で良いのか?
・お名前欄が福田 一郎様で、ネーム刺繍が、I.FUKUTAだった場合:「T」は「D」ではないのか?
・日付を入れるお客様がいらっいますが、2023年なのに、2022とオーダーシートに記入していた場合。
補正項目の一例
・ジャケットの肩傾斜は、「ナデ肩」なのに、ベストは「イカリ肩」で大丈夫?
・上記と似てますが、肩傾斜のジャケット補正、左右違う寸法指示をしていた際、ベストの数値がテレコになっている。
持ち込み資材の一例
・持ち込みボタンの、1個だけ色が微妙に違う、1個だけ穴の大きさが違う。
・持ち込み生地の、色ムラや、色焼け、畳んだ折り目が濃くなる症状の発見等。写真では表現出来ない、肉眼でも見つけづらい症状。
・中表に畳まれてる生地(裏地)と、オーダーシートの生地(裏地)見本が逆に貼られてる。
上記の様に、特にスタート時のチェックが徹底されております。工場様によると思いますが、オーダーシートは発注書なので、書いてある通りに進めても、工場側にとっては非がない状態ですので、そのまま進める工場様もあるかと思います。
ここまでチェックしてもらえるのは安心感がありますね。
ただ、出来上がり後の検品は、稀に不良をスルーして納品される事もありますが、、(笑)
【GXジャージーオーダー新旧工場違い】
10月より受注スタートしております、【GXジャージーオーダー】の御幸バージョンですが、新しくスタートしました御幸工場と現工場の違いを一覧に致しました。
御幸工場では、北海道の小樽の工場でジャケットの縫製を行っておりますが、特筆すべき点は、ジャージー素材には、ボールポイントの針を使用しております。ジャージー素材の場合、通常の針だと地糸切れが発生し、着用していると生地が切れ避けてくる症状が出やすいですが、ボールポイントですと針先が丸くなっている為、糸を切らず縫製出来る為、この点においても安心ですね。
次の春夏に向けてのサンプル作成、ご検討頂けると幸いです。ご不明ございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。
【日本モデリスト協会/第23回技術研修会】
2023.11.18、中野区にある織田学園 で開催されました「1.5%」の希少価値 ValueとWorth」と題された、日本モデリスト協会主催のセミナーに参加してきました。
著名なファッションデザイナーである本間遊氏。ヨウジヤマモトでの経験を踏まえ、日本のファッション業界やものづくりに対する独自の視点を示しました。
講演では、彼の独創的な製作手法やこだわりが、実物サンプルや過去のファッションショーの映像を通じて紹介されました。また、日本のファッション産業におけるブランディング手法や、アパレル業界における国内生産比率の低下についての分析も行われました。
特に印象的だったのは、日本のソフト産業の素晴らしさに関する彼の考察でした。2022年のアパレルの国内生産比率が低下した要因について、商社の介入がものづくりのプロセスを分断し、それがコモディティ化を招いていることを指摘されました。
彼はまた、日本が物質的には豊かでありながら欲求が限定的である状況について言及しました。この状況下での成功の鍵は、顧客の「欲しいもの」を創出することであり、そのためにブランディングが不可欠だと述べました。
最も重要なポイントは、日本の技術を結集し、新たな価値を生み出すために、文化的なルーツを大切にすることであるという彼の結論です。日本のものづくりの卓越性を再確認すると同時に、商品開発において日本のものづくり精神を活かすことの重要性を強く感じました。
今後は、この講演で得た示唆を活かし、日本独自のものづくり文化を理解し、それをスーツの商品開発に活かしていきたいと考えています。我々のスーツは、単なる服ではなく、日本の伝統と技術が息づく特別な存在として顧客に価値を提供できるよう努めてまいります。
以上如何でしたでしょうか。
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メンズスーツやレディーススーツ、ドレスシャツ、ジャージースーツ、コートなどの縫製サービスについてのお問い合わせは株式会社ヤマモト縫製部まで、BtoB向けオーダーブランド【GX】展開中です。
縫製部の福田です。
銀座のテーラーにて職人見習いを経てヤマモトに。